NY消費のキーワードは「ラグカジュ」と「サスティナブル」

街を歩く中で一番盛り上がりを感じたのは、“食”空間でした。おしゃれな内装の店内で有名レストランの味を気軽に楽しめるフードホールや、屋上階で夜景を見ながら贅沢な時間を過ごせるルーフトップバー。また、アパレルショップであっても、カフェやレストラン併設は当たり前。

メニューにもこだわりがあって、ハイセンスかつ独自性のある店が軒を連ねていました。多少高額でも、健康に配慮した美味しいものを、おしゃれかつカジュアルな雰囲気で食べたい。そういう現地の空気を感じました。

例えば、ソーホーにあるRHギャラリーは、インテリアファニチャーショップですが、家具ショップとは思えないホテルロビーのような空間が広がっています。2階以降には実際販売しているテーブルやソファに座りながら、気軽にお酒やコーヒーを飲むことができます。最上階にはレストラン&バーもあって、全体的に高級感ある洗練された空間でした。しかし、カジュアルな服装で気軽に立ち寄れる場所となっていて、ワイン片手に談笑を楽しむ多くの客で賑わっていました。

今の人が求めるのは、そういう贅沢で気軽な「ラグジュアリーかつカジュアル」な体験、「ラグカジュ」体験なのかもしれません。

もう一つのキーワードは「サスティナブル」です。「サスティナブル」や「エシカル」は最近ではよく耳にする言葉ですが、私がここで強調したいのは、「サスティナブルは単なるトレンドではない」ということです。

いわゆる大量消費の時代から、リーマンショックを経て、より本質的な豊かさを求める価値基準へと移ってきました。物を持たない断捨離、ミニマリストも一時期流行したし、エコも長い間声高に叫ばれてきたことです。

一方、サスティナブルは、環境に配慮されているだけでなく、経済的にも社会的にも配慮がされ、持続可能な社会を実現するための消費を重要視する、という大きな世の中の流れだと思います。 今回視察した店舗でも、コンセプトや理念としてサスティナブルを掲げるところを多く見かけました。

ブルックリンにある有名なpackage free(パッケージフリー)という店は、ゴミを出さないというゼロ・ウェイストの考え方で、一貫した商品セレクトと情報発信を行なっています。おそらく、ブルックリンのような独自の文化を発信するエリアは、その個性とライフスタイルの先進性から、サスティナブルと相性が良いのだと思います。

しかし、それは単なるトレンドとしての流行ではなく、人間の生き方に関わる大きな流れの中にあるものだと思います。