多くの人にとって、一日の大半の時間を過ごすオフィス。執務室や会議室と同じくらい、いま注目されているのが “休憩・食事スペース” です。ちょっと一息つける場所があるだけで、心も体もリフレッシュでき、日々の業務パフォーマンスはグッと上がります。さらに、リラックスした環境だからこそ生まれる社員同士のコミュニケーションやアイデアもあり、単なる休憩所を超えた「創造的な空間」としての役割も担う場所となっているのです。また、ウェルビーイングの向上に直結するだけでなく、商談やミーティング、小規模イベントなどに活用できる “多目的スペース” としての機能を加えれば、スペース活用の幅は無限に広がります。

今回ご紹介するのは、従業員に寄り添った休憩スペースを導入し、働く環境の質を大きく変えた企業様の実例。心地よい空間がどのように日常の風景を変えていくのか・・・そのヒントを探ります。

 


 

社員と地域に開かれた多目的スペース ~ 岐セン株式会社 様 ~

合繊の染色加工を主力事業とする、1943年創業の繊維製品メーカー「 岐セン株式会社 様 」

もともと休憩スペースは存在していたものの、利用するのは限られた従業員のみ・・・そこで「もっと幅広い層に使ってほしい」という想いから、全面的な改装計画がスタートしました。まずは、デザインの方向性や空間イメージなどのビジュアル要素をコラージュし表現した「イメージボード」を提示し、従業員アンケートを実施。最も支持を集めたスタイルを採用することで、利用者目線に立った空間づくりを実現しました。

新しいスペースは、休憩室としての役割にとどまらず、ショールーム機能や商談・ミーティングにも活用できる多目的空間へと進化。使い勝手と居心地を両立させたことで、社内のコミュニケーションと働きやすさを一段と高めています。

さらに、将来的には地域に開放し、ワークショップやイベントを開催する構想も。従業員のための空間が、やがては地域の人々をつなぐコミュニケーション拠点へと広がっていく予定です。

 

 

用途が広がる、交流と学びの空間 ~ 株式会社 四葉クラフト 様 ~

モータースポーツを中心に耐環境・特殊ワイヤーハーネス等の設計・製作を行っている「 株式会社 四葉クラフト 様 」

新たに整備されたスペースは、休憩や食事に限らず、ミーティング・セミナー・研修ルームとしても活用できる多目的エリアへと発展しました。大型スクリーンなどの設備を完備し、快適さだけでなく、活用しやすい仕掛けを随所に取り入れています。

さらに、ビリヤードや大型スクリーンを利用したスポーツ観戦といったレクリエーション要素も導入。業務を離れた場での交流機会を生み出すことで、社員同士の関係性を深め、チームワークの強化にもつながっています。

このように “働く・学ぶ・楽しむ” をバランスよく備えた空間は、社内のウェルビーイングを底上げするだけでなく、未来に向けた新しい企業文化の育成にも寄与しています。

 

 

緩やかに仕切られたフリースペース ~ 田澤電材株式会社 様 ~

照明器具・配線器具・通信機器・電線などの電設資材や工具などを供給する電材専門商社である「田澤電材株式会社 様」

企業のブランディングを内装デザインやメッセージで表現しつつ、生産性と創造性をより高めるための新しいイノベーションの場を創出しました。オフィススペースの一角に設けられたフリースペースは、休憩だけでなく会議やセミナーにも対応できる多用途エリアとなっています。

境界には、同社取り扱いの電材をイメージした軽やかなパーテーションを配置し、視界を遮らずに適度な区切りを実現。

ワンフロアならではの管理のしやすさを保ちつつ、利用シーンごとにエリアを分けることで、空間にメリハリをプラス。「オープンさ」と「機能性」を両立したこの設計は、働きやすさと居心地の良さを兼ね備えたオフィス空間づくりの好例です。

 

 

五感で癒されるフレキシブルな空間 ~ 株式会社 マルエイ 様 ~

LPガスをはじめとする多様なクリーンエネルギーを提供する“エネルギー事業”と、人々のQOL向上を応援する“快適生活提案事業”を中心に展開する「株式会社 マルエイ 様」

「社員が集うコミューナルスペース」と称し、社員のエンゲージメント向上を目的とした、オフィス内共用スペースのデザイン施工を実施しました。エネルギーを扱うクライアント様にふさわしい「自然と共生する未来」を創造させるバイオフィリクデザインを採用したコミューナルスペースを提案しつつ、同社が取り扱うミストサラウンドシステムも取り入れ、ここにいることで居心地の良さだけでなく「五感で癒され・元気になれる」空間です。

外光が気持ち良い窓際には、1人用のカウンター席・2人用の1 on 1席・4人用のボックス席を配置し、その日の気分や人数・シーンに合わせて席を選べ、使用する人に寄り添った時間が過ごせます。

中央のテーブルは使用用途に合わせて組合せを変えることで、セミナー、会議、展示会など、様々なシーンに対応できるようになっています。

 

 

全ての社員がゆっくり休息できる場所 ~ 太陽電機工業株式会社 様 ~

工場やオフィスビル、商業施設、公共施設などの高低圧配電盤をはじめ電力の受変電、制御・監視システムの専門メーカーである「 太陽電機工業株式会社 様 」

休憩・食堂スペースは、バイオフィリックデザインを採用したグリーン溢れる空間に。外光を取り入れ明るく、屋外でピクニックをしているような解放感を演出しました。ツリーを囲む楕円テーブル、中央のダイニング席、窓際のカウンター席、ソファ席、ファミレス席・・・その日の気分に合わせて席を選べ、その時にあったリラックス時間を取っていただけるように、様々なタイプの席を配置しました。

休憩スペースは、よりリラックスできる場所に。照明照度を低く設定し、居心地の良さを追求しています。

もうひとつの休憩スペースでは、2面に渡る大きな窓にあえてカーテンを設置しないことで、室内でありながらも解放感のある空間となっています。

そしてイメージと合わせてこだわったのは機能性。Wi-Fi設備、充電設備といった基本的なものから、リラックスできる遊び要素まで、各所に合わせたONとOFFの機能を盛り込んだ空間です。

社員の喜ぶ笑顔が見たい! ある企業が取り組んだ休憩室リニューアルプロジェクト

 


 

オフィスの休憩・食事スペースが生み出す価値

オフィス内に休憩・食事スペースを整えることは、従業員一人ひとりが「自分らしく働ける環境」を考えることでもあり、多岐にわたるメリットが期待できます。

 

① 生産性の向上
適度な休憩を取ることで集中力が回復し、業務効率が向上します。リフレッシュできる環境は、日々の成果を支える大切な要素です。

② コミュニケーションの促進
休憩スペースは、仕事の相談から日常の雑談まで自然な交流を生み出します。部署や役職を越えた情報交換が活発になり、組織としての一体感を育みます。

③ 従業員満足度の向上
快適な空間は働く人の満足度を高め、企業への愛着を深めます。その結果、定着率の向上にもつながります。

④ 企業ブランドの強化
魅力ある休憩スペースは社内だけでなく社外からの評価も高め、採用活動や人材獲得にも効果を発揮します。

 

厚生労働省が定める「事務所衛生基準規則」では「第十九条  事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。」との記載もあります。心身共に充実したオフィスライフの実現、そしてより大きな成果のために、今こそ福利厚生の在り方を見直してみませんか?

空間づくりのご相談も、ぜひお気軽にお問い合わせください。