おかげさまで株式会社パールイデアは創業70周年を迎えることができました。 心よりお礼申し上げます。 これまでの歩みを礎とし、更なる価値創造と挑戦を続けてまいります。

 


 

The STORY that started from a mannequin.

「家業である果樹園を継ぐべきか、それとも――。」
後藤文男・久子夫妻は、進むべき道を模索していました。 そんな矢先、季節外れの雹が果樹園を襲い、畑は壊滅状態に。 自然の力の前に立ち尽くすしかなかったその瞬間、ふたりの心にひとすじの光が差します。――新しい道へ踏み出す“啓示”でした。 夫妻はマネキンの生産技術を学ぶため、共に住み込みでの修行に励むことになります。

その当時の原型は 『胎動(たいどう)』 として、現在も会社に飾られている。
庭先でファイバー製の腕を仕上げている創業者夫妻。 当時はファイバーがマネキン材料であり、ニカワを使って接着していた。 ごふんを表面に塗り、乾燥後サンドペーパーで磨きを行う。

1956年(昭和31年)9月26日。 修行を終えた後藤夫妻は、岐阜県本巣市の自宅で静かに第一歩を踏み出しました。 それから8年後の1964年(昭和39年)、株式会社パールマネキン を設立。 当時の岐阜駅前は、全国から繊維関係者が集う問屋街として活況を極めており、その中心に営業拠点を構えたことが、全国各地への販路拡大に繋がっていったのです。

旧本社では、毎日のマネキン販売に対応するため地方発送の荷造りが行われていた。

岐阜駅前の問屋街が取引の中心だった時代を過ぎ、全国では大型量販店の進出が相次ぎ、小売業界は大きな転換期を迎えました。 その変化の波に応えるように、全国各地へ営業拠点を広げ、新たに本社社屋を構えるなど、力強く歩みを進めていきます。

この社屋のサイン看板は、ものづくりにこだわり続けた創業者の自作。

そして、みなさまの温かいご支援に支えられ、株式会社パールイデア(旧・株式会社パールマネキン) は、このたび創業70周年を迎えることができました。

The STORY that started from a mannequin.――創業者夫妻の手によって生まれた一体のマネキン。 そこから始まった“ものがたり”は、時代の流れとともに形を変えながら、今日まで紡がれてきたのです。

創業者は、原点である“ものづくり”に生涯情熱を注ぎ、常に厳しい眼差しで粘土と向き合いながら、後進の育成にも力を尽くしていた。

 

明日を支える旅 ~SUSTAINABLE JOURNEY, IMAGINING FUTURE~

70周年を迎えたパールイデアが今回、年始のご挨拶としてお届けするお年賀の品は、規格外の残布や残反を再利用して制作した「ラゲッジタグ」です。 ラゲッジタグとは、旅の際にトランクやバッグへ取り付け、荷物の目印や紛失・取り違え防止のために用いられる下げ札のこと。

――70年分の旅で育まれたイマジネーションを、トランクいっぱいに詰め込み、未来のあなたのもとへ迷わず届きますように。

そんな想いを込めて、ひとつひとつ丁寧に制作しました。

当社は自社内に研究ラボを設置し、環境に配慮した素材の研究・開発に日々取り組んでいます。 今回、ラゲッジタグの素材として採用したのは、140年の歴史を誇る岡山県倉敷市の老舗染色加工会社「セイショク株式会社」様が提案するサスティナブル素材 「NUNOUS®[ニューノス]」です。

世界的に見ても繊維産業は拡大し続けており、日本国内の年間の生地生産数量でさえ約18億㎡(※) にものぼります。 日本の繊維製品の品質基準は非常に高く高品質ですが、その反面、基準に満たない「規格外品」が存在します。 目に見えない「規格外品」は国内だけでも約900万㎡以上(45cm幅の道にすると地球半周分)と推定されます。

(※) 出典:経済産業省のデータ[平成30年 経済産業省生産動態統計年報 繊維・生活用品統計編]による

リサイクルが難しい理由のひとつ――それは、多様な繊維がひとつの布の中に混ざり合っているから。 しかも従来のリサイクルでは、粉砕という工程によって、布がもつ本来の美しさが失われていました。 そこで、分別や粉砕を行わずに、綿・麻・毛・絹・ポリエステルなど、複数の繊維が混ざった布にも対応しながら、その外観の美しさを引き出す独自の特許技術(※特許第6845551号)を開発。 それがNUNOUS®[ニューノス]です。 原料となる布にサトウキビの非可食成分由来のバイオポリマーフィルムを含浸させ、ブロック状に成形する技術で、 石油由来素材を使用する場合に比べ、製造時のCO₂排出量を約70%削減します。

一定のサイズに裁断した布を積層し、全体にバイオポリマーを含浸させてプレスした塊を作成。 50cm角の布を150~200枚重ねる事で1ブロックできる。

ブロックを薄くスライスしたその断面は、布らしいやわらかな質感と、布を超えた新たな美が息づいています。

これまでにない新感覚の表面材「NUNOUS SKIN」

やわらかな布を積み重ねると、わずかな波やたわみが生まれます。 そのゆらぎは加圧成形後も姿をとどめ、切り出した表面に、自然が描いたような模様として現れます。

スライスしたNUNOUS®。 左から0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mmの厚さで、用途に応じて選択可能。 0.6mm厚であれば、1ブロックから140枚のNUNOUS SKINができあがる。

スライスした NUNOUS® は、合板や革と同程度の強度を持ち、切断・切削・裁断・縫製・印刷・塗装・接着など、デザインの発想を広げる多彩な加工が可能です。

NUNOUS®を縫製しつくられたコースター
必要に応じてウレタン・エポキシ塗装やウレタン塗装などの表面処理を行えば、テーブル天板などでも使用可能です。

表裏が無く、フリーカットもでき、薄くすれば光透過性を持つので、従来の繊維素材が用いられなかった分野やデザインにも展開可能です。

株式会社大丸松坂屋百貨店様 大丸神戸店ショーウィンドーディスプレイの実績。 背面とスツール天面にNUNOUS®を採用。

ある時は立体的な壁面に、またある時は家具のように。 ブロック状の NUNOUS® STONE は、木工用の工具や装置で切断・切削が可能で、表面の模様やサイズ、形状など、多様な加工に対応します。

株式会社サンウェル様 オフィス壁面装飾の実績。

NUNOUS® の製造工程で生まれる大きな端材は、再び新たな NUNOUS® へと生まれ変わります。 小さな欠片やおが屑も無駄にせず、産業用固形燃料として活かすことで、廃棄物と化石燃料使用量削減に努めています。

NUNOUS®の端材でつくられたKOKESHI DOLLと小さなりんごのオブジェ。 ※右のりんごはNUNOUS®の塊から削り出したもの

 

あなたの旅に寄り添いたい ~A LITTLE TAG FOR A BIG JOURNEY~

そんな多様な加工性と特性をもつ NUNOUS® で仕立てたラゲッジタグは、社会問題となっている繊維廃材を美しく“見える化”した、サスティナブルなアートピースです。

原料となる布本来の色や風合いを活かしているため、一点ごとに異なる模様が生まれ、同じものは二つとして存在しません。 それぞれがまるで絵画や大理石のような豊かな表情と、あたたかみのあるテクスチャーを纏っています。

世界にひとつだけの “ONLY ONE” ラゲッジタグには、遊び心を宿した7つのタイポグラフィーが。 多くの偉人たちが“人生”や“成長”の象徴として語ってきた「旅」というテーマから、前向きで心を動かす名言を選び、“旅を楽しむすべての人へ” 想いを込めたデザインに仕上げました。

 

“A great way to learn about your country is to leave it.(自分の国について学ぶ最良の方法は、その国を離れることだ。)” ― アメリカ 作家 Henry Rollins(ヘンリー・ロリンズ)
外の世界に出て初めて、自分の文化・価値観・当たり前だと思っていたことを相対的に理解できる、というメッセージです。

 

“All journeys have secret destinations of which the traveler is unaware. (すべての旅には、旅人がまだ気づいていない“秘密の目的地”がある。)” ― オーストリア 哲学者 Martin Buber(マルティン・ブーバー)
旅とは単に地図に載った場所へ行くことではなく、思いもよらない出会い・発見・変化 に導かれる“内面的な旅”でもある、という哲学的なメッセージです。

 

“Don’ t tell me how educated you are, tell me how much you have traveled. (どれほど教育を受けたかを語るより、どれほど旅をしてきたかを語りなさい。)” ― サウジアラビア 預言者 Muhammad(ムハンマド)
真の学びは教室の外にあるということ。 旅こそが人生最大の教育であり、経験から得る知恵や視野の広がりこそが「本当の教養」だというメッセージです。

 

“The most beautiful in the world is, of course, the world itself. (この世界で最も美しいものは、もちろんこの世界そのものだ。)” ― アメリカ 詩人・作家 Wallace Stevens(ウォレス・スティーヴンズ)
外に特別な美を探さなくても、すでにこの世界が最高の芸術作品であり、旅そのものが美しい、という気づきを表しています。

 

“Once a year, go someplace you’ ve never been before. (一年に一度は、行ったことのない場所へ行きなさい。)” ― チベット 仏教指導者 Dalai Lama(ダライ・ラマ14世)
未知との出会いが人生を豊かにする というシンプルで力強いメッセージで、新しい場所、新しい人、新しい景色、そのひとつひとつが、あなたの心の“旅の地図”を広げてくれる、という思想です。

 

“Travel is never a matter of money but of courage. (旅はお金の問題ではない。勇気の問題だ。)” ― ドイツ 作家 Paulo Coelho(パウロ・コエーリョ)
旅とは贅沢や余裕の象徴ではなく、“一歩踏み出す勇気” があるかどうかで決まる、というメッセージ。未知の場所に向かう決断や、日常を抜け出す意志そのものを“旅の本質”として描いています。

 

“Journey is the happiest thing in life. (旅は人生を一番楽しくする)
幸せは、目的地にあるのではなく、その過程――すなわち“旅”そのものの中にあります。 “旅”を「人生」や「成長」「挑戦」と重ねながら、私たちは日々の体験を通して、感動し、学び、気づき、そして自分自身を少しずつ知ってゆくのです。 その歩みのひとつひとつが、幸せの証。 創業70周年という節目に、この想いを込めた、パールイデアからのメッセージです。

 


 

70年の感謝を込めて ~A JOURNEY OF IMAGINATION~

約70年前、欧米の流れを見よう見まねで始めた一体のマネキン。 そこから積み重ねた経験と挑戦が、今日の私たちを形づくっています。 今ではブランドの世界観に合わせたカスタマイズや、毎年の新作シリーズ発表を行い、年間1万体を超えるマネキンを製造。 6年連続でマネキン生産国内No.1の実績を誇ります。

また、時代の歩みとともに事業も進化し、店舗演出、什器備品の販売、展示会・ショールーム・商業施設、さらにはオフィスやホテル、医療施設まで――多様な空間づくりへとフィールドを広げてまいりました。

そして2026年、 「A JOURNEY OF IMAGINATION」 をテーマに、さまざまな記念イベントを企画しております。 お客様のご期待により一層お応えできるよう、「IDEA」と「IMAGINATION」による共創を通じて空間のブランド価値を高める、未来への旅路という“ものがたり”を、皆さまと共に紡いでまいります。

今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。