パールマネキンのクリエイティブに欠かせないクリエイターを紹介するインタビュー企画「クリエイティブの美学」。今回は、パールマネキンでアートディレクターとして活躍する 鈴木 啓太(すずき けいた)を紹介します。

常にクライアント思考でエモーショナルなクリエイションを追求し続ける鈴木の、クリエイティブの美学とは?

▲鈴木 啓太 / 1966年11月28日生まれ。パールマネキン アートディレクター。独自の世界観とコミュニケーション能力を活かし、商業施設のVP演出からブランディングを伴った空間演出まで手掛けている。

パールマネキンへ入社するに至る経緯はとてもユニークなものです。

高校卒業後に大手自動車メーカーに就職するも、幼少時からの夢でもあったデザインに対する想いが日に日に大きくなっていき、一念発起してデザインスクールに通いはじめました。ここから私のクリエイション道がスタートしています。 グラフィックデザイナーや医療機器のプロダクトデザイナー、オートモービルのカスタムペインターなどを経て、右往左往していた自身の職暦が二桁を超えた頃、縁がありパールマネキンへ入社する事に。

現在は主にアパレルブランドのブランディングを伴った POP UP STOREや什器・ディスプレイツールのプランニングを行う他、スタイル提案型商業施設の年間演出や館内家具のディレクションなども手掛けています。

大名古屋ビルヂング2F [ ISETAN HAUS ] のVMD実績。フロアテーマのWell-being(心と体の充足) に対してモード感をプラスする新たな展開として、各カテゴリーブランド( グループ) 毎にVP・PP・IP・ ツール ・陳列プランニングを推進しました。
二子玉川ライズ・ショッピングセンター:タウンフロント メインVPデザイン。時流はもとより、施設地域性を踏まえたファッションコーディネイト提案を、シーズンを伴いながら年間を通して行っています。
LEVI’S®のスペシャルコンテンツ実績。トラッカージャケットの生誕50周年をエモーショナルに彩ると共に、ブランドの本質とも言えるクラフトマンシップを、質実なイメージにて統一展開しました。
某グローバルブランドの POP UP STORE。古き良き時代のアメリカからインスパイアされた Barn (納屋)イメージを背景として、刷新されたプロダクトを展開しました。

グローバルなコミュニケーションを目指して

デザインをする上で大切にしていることは何ですか?

ニュアンスの共有と引き算から生まれる美意識です。

経験が蓄積されることでデザインへの深みが増す反面、伝える内容が情報過多となり、本来の意図が薄まる場合があります。そんな [ too much ] な状況を生まない為に綿密なコミュニケーションを繰り返し、細部までのニュアンスの共有と摺り合わせを行った上で、余計な部分(素材や色彩、形状 etc)は削ぎ落とし、本意(ブランディングやプロダクト特性など)を明確にすることを心掛けています。例えるなら、日本料理で素材本来の旨さを引き出す調理法に似ています(笑)

クリエイションの断捨離を行うことで、伝えたい想いはミニマルに凝縮され、よりエモーショナルな感情をお客様へ抱かせることが仕掛けとして可能となります。

もっとも影響を受けた本はありますか?

フランスの作家・詩人・美術評論家であるベルナール・ラマルシュ=ヴァデル(Bernard Lamarche-Vadel) の著作で『 Alberto Giacometti 』という、彫刻家アルベルト・ジャコメッティの画集兼ポートレイト集です。

美術館で立体造形を鑑賞することはできますが、エスキースを見ることは希少なので、学生時代では高価でしたが奮発して購入した思い出の1冊でもあります。アカデミックな時流の中でも揺るぎない画風(作風)に衝撃を受けたことを覚えています。

アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)

スイスの彫刻家。 ジャコメッティはおもに彫刻家として知られるが、絵画や版画の作品も多い。

「”アルベルト・ジャコメッティ”」 『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。
最近感銘を受けたできごとは何ですか?

Portrait(ポートレイト) と Landscape(ランドスケープ) の関係性です。

単純に訳せばポートレイトは肖像写真、ランドスケープは風景・景色…なのですが、印刷業界ではPortrait=縦向き(縦長)・Landscape=横向き(横長)と解釈されるそうで、個人的に目から鱗!なお話でした(笑)

休日の過ごし方は?

ウェルネスでグローバルなライフスタイルを目指して、スポーツジムと英会話へ通っています。映画鑑賞も大好きです。

いくつになっても新しい発見のあるコミュニティへ飛び込んでいくのはとても刺激的で、それぞれに異なる世界観を体験できるので退屈のない毎日です。ここでの発見が日々のクリエイティブに繋がっていると感じます。

大事にしているもの・ことは何ですか?

コミュニティ & コミュニケーション です。お客様や企画スタッフ、英会話の先生や友人・家族など、様々な繋がりを大切にしています。個々の直接的な関係性は薄くても、会話や体験を通してリンクする瞬間に、最高の幸福感を抱くのです。

今いちばんしたいことは何ですか?

海外旅行です。目下勉強中の英語でネイティブとのコミュニケーションを楽しみ、リアルな現地の空気感を知りたい!サンフランシスコやニューヨークへの渡米を思い描いていますが、日程的になかなかハードルが高いんですよね(笑)


『五感』でのコミュニケーションが不可欠

テクノロジーのパーソナル化により、生きていく上での価値感や、モノ・コトに対する重要性も大きく変化していった最中、全てにおいて納得が伴っているのか?と疑問を感じています。

本来「いきもの」はアナログであり、有機的なモノへの『五感』を通した繋がりを多く求めることで感情を増幅させ、納得ある回答へと導きます。バーチャルでは補いきれない部分です。

クリエイションも同様に、リアルな繋がり(コミュニティ)は本質や意図を見極める上で不可欠となり、どれだけニュアンスを共有・体験できたかによって内容の濃い情報のスマート化が実現するか否かが問われます。

テクノロジーとデジタル化が日常のあたり前となる中、改めてモノとの繋がり、人との繋がりを再認識した上で、今後のクリエイションへ「味付け」を行ってゆきたいと考えています。